2009/11/09

鎌倉巡空

現在、鎌倉芸術祭の一環として、鎌倉のお寺を展示会場に使い、「鎌倉巡空」なる展示会をやっておりますが、これについて一言申し上げたい。

昨日、龍隠庵(円覚寺塔頭)と浄智寺に展示中の作品を見てきましたが、首を傾げずにはいられませんでした。

龍隠庵の作品(写真左)は、確かに水を満たしたガラスの器が日の光に映え綺麗ですが、この作品を敢えて鎌倉でやる理由は何なのでしょう?
もっと鎌倉のランドスケープに溶け込むようなコンセプトの作品もあったのでは?と思いましたがいかがでしょうか。

浄智寺の作品(写真右)に関しては、コンセプトも空虚で、作品の完成度も論外。現代芸術は薄っぺらいものなどという偏見は持ちませんが、この作品は薄っぺらい。
学校の文化祭ならともかく、芸術として世に問うならもう少しましな作品をお願いしたいところです。

最後に。鎌倉には遠方からも多くの方が足を運びます。鎌倉市民はともかく、わざわざ時間とお金を使って来た方々ががっかりするような企画はやめていただきたい。また、つまらない企画を無責任に宣伝するホームページの運営者にも反省していただきたい(作品をろくに見もせずに宣伝しているのでしょう)。

鎌倉の今後の観光立市としての発展のために敢えて苦言を書かせていただきました。

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2009/08/27

我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか

今日は、現在、竹橋の国立東京近代美術館で開催されている「ゴーギャン展」を見てきました。

ゴーギャンは、スーラやギュスターヴ・モローと並び、私の好きな画家です。

私がゴーギャンを好きになったのは、彼の絵を見てというよりも、おそらく中学生の頃だったと思いますが、彼の人生をモーチーフにして描かれたサマセット・モームの小説『月と六ペンス』を読んでからだと思います。

株式の仲買人としての安定した生活を捨て画家となり、やがて文明社会を捨て南国に渡り、そこで朽ち果てるように死ぬ。この狂おしいばかりの彼の人生を知って、はじめて南国タヒチの伝説や褐色の美女たちを描いた彼の絵に興味を覚えたのでした。

ゴーギャンの絵は、色鮮やかで構図も大胆。しかし、よく見ると非常に丁寧な筆のタッチで描かれています。ゴーギャンの絵に神秘性や静謐さが宿っているのは、このせいなのでしょう。
また、彼の絵には常に孤独の影が潜んでいます。それは、南国の未開の島に渡ったものの、現地人と最後の一線でどうしても溶け合うことができない文明人としての孤独。
タヒチで描いた絵がパリで評価されない画家としての孤独。
そして、家族を捨て、故郷を捨て、遥か遠い未開の地で朽ち果てる人間としての孤独。。。

今回の展覧会の目玉は、彼の代表作と言われる「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」。

人生は所詮孤独なもの。
孤独な旅人は、どこからやってきて、どこへ行くのか。
旅人は何の目的のために旅を続けるのか。

D'ou venons-nous? Que Sommes-nous? Ou allons-nous?

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2009/05/04

鎌倉なんでもベスト3 -ユニークな伝説-

鎌倉なんでもベスト3、其の五は「ユニークな伝説」。

古い歴史を持つ街、鎌倉。お寺や神社、民間に伝わる伝説や物語にも、古い歴史を持つ街ならではのとってもユニークなものがたくさんあります。
その中でも、とくに面白いものを3つご紹介します。

◆ムジナ塚の話(瑞泉寺Mujina
早春の梅、夏の芙蓉、晩秋の紅葉、冬の水仙。。。と四季を通じて境内に花が絶えることのない、鎌倉有数の「花の寺」、瑞泉寺。このお寺の鐘楼のそばに、寺を訪れる人もまず気づくことがないほど、ひっそりと祀られているのが「ムジナ塚」。小高く土盛りされた塚の上に、どっしりした体形のムジナ君の像が座っています。

「ムジナ」というのは、「アナグマ」もしくは「タヌキ」のこと。アナグマとタヌキは外見が少々似ていますが、アナグマは鋭い爪を持っていて自分で巣穴を掘るのに対して、タヌキは自分では穴を掘りません。なので、タヌキはアナグマが掘った巣穴の入口あたりに居候させてもうらうことが多い。「同じ穴のムジナ」というのは、このことが語源になっているようです。

さて、瑞泉寺のムジナ君には、どんなお話があるかというと。。。

むかし、むかし、瑞泉寺には堂守(どうもり)の夫婦が住んでいました。そこへ毎晩、近くの山に住むムジナが老人の姿に化けて遊びにきました。
瑞泉寺は鎌倉の奥にある寺で、堂守夫婦はとても寂しい暮らしをしていました。なので、毎晩訪ねてきてくれる老人をありがたく思い、まさかムジナが化けているとは思わず、食事やお酒を振舞ってもてなしました。

ある晩、いつものように老人が訪ねてきたので、堂守は老人にお酒をすすめました。老人はお酒を飲んで、楽しそうに話をしていましたが、この日はいつもよりも少々お酒を飲みすぎてしまったようです。やがて、老人は酔っ払って居眠りをはじめました。するとどうでしょう。いびきをかいて眠る老人に尻尾が生え、ひげが生え、みるみるうちに老人はムジナの姿に変わっていきました。
驚いたのは、堂守です。「おじいさんだと思って親切にすれば、悪いムジナめ」と言って、かたわらにあった焼け火箸で、ムジナを突き殺してしまいました。
しかし、堂守は後になって後悔しました。たしかに、人をだましてお酒やご飯をただ食いする悪いムジナだったけど、寂しい我々夫婦を随分楽しませてくれたではないか。ムジナが死んで訪ねてこなくなってからは、夜が一層寂しくなった。。。
そこで、堂守は塚を造って、ムジナを手厚く葬りました。

これが、瑞泉寺のムジナ塚のお話です。深酔いは禁物ですね。。。

◆どこも苦地蔵の話(瑞泉寺)Jizou
もう一つ瑞泉寺から。瑞泉寺の本堂の左脇に小さな地蔵堂があります。中にまつられているのが「どこも苦地蔵」というお地蔵さん。このお地蔵さんには、こんなお話が伝わっています。

むかし、瑞泉寺に堂守が住んでいましたが、あまりにも寺の生活が苦しいので逃げ出そうと考えていました。すると、ある晩、堂守の夢枕にお地蔵さんが立って、「どこも苦、どこも苦。。。」と言いました。
この世の中、どこへ行ったって苦しいのは同じこと。同じ苦しいなら、今の仕事をもう少し続けてみよう。そう思い直した堂守は、逃げるのを思いとどまって寺に残りました。

というお話。先日、このお地蔵さんの前を通りかかると、女性が2人で話していて、「どこへ行っても苦しい今の時代に、とてもタイムリーなお地蔵さんだね。」と言っていました。
未曾有の不況と言われるこの時代。
「苦しいのはあなただけじゃないよ。」
訪れる参拝客に、お地蔵さんがそのように言っているように思えてきました。

◆タヌキが建てた山門の話(建長寺Sanmon
最後に、もう一つ、タヌキがでてくるお話。
鎌倉のお寺の建物は、地震や戦火、失火により度々失われ、その度に再建されてきました。現在の建長寺の山門(禅寺の場合、「三門」ともいう)は、江戸時代の安永4(1775)年に、第二百一世の万拙碩誼(ばんせつせきぎ)和尚の下で再建されたものですが、この再建にあたっては、僧侶が諸国を勧進して歩き、資金を捻出したのだそうです。
このことが、次のようなタヌキ和尚の話を生みました。

その昔、建長寺の裏山の林に、古タヌキが棲みついていました。ある時、建長寺の和尚は山門を再建したいと願ったのですが、老いて諸国に勧進(お金集め)の旅に出ることができませんでした。そこで永年境内に住まわせてもらったお礼に、タヌキが和尚の姿に化けて旅に出ました。
タヌキはあちこちで「拙僧は鎌倉建長寺の僧だが、山門再建のためご寄進を願いたい」と言って寄進を受け、大金を集めました。しかし、いくら立派な坊さんに化けてもタヌキはタヌキ。飯を食えば米粒を畳にぶちまける、風呂に入れば尻尾があるのを家の下働きの女に見られるといった具合で、旅を続けてしばらくすると、建長寺の勧進和尚はタヌキだという噂が立ち始めます。
ある日、タヌキ和尚が青梅街道で駕籠(かご)に揺られているとき、タヌキ和尚の噂を聞いていた駕籠屋が和尚に犬をけしかけました。しばらく匂いを嗅いでいた犬が突然、和尚の首に喰らいつくと、あっけなくタヌキ和尚は死んでしまいました。和尚の死体は見る見るタヌキの姿に変り、駕籠の中には金三十両と銭5貫200文が残っており、このお金は建長寺に届けられました。

人様のお役に建ちたいとがんばったタヌキ和尚、なんだかかわいそうですよね。ちなみにこのタヌキ、寄進を受けたお礼に書や絵を描いたらしく(尻尾で描いた?)、あちこちの宿場に描いた絵がの残っているのだそうです。


鎌倉のユニークな伝説、ベスト3は、
1位 : タヌキ和尚のお話
2位 : ムジナ塚のお話
3位 : どこも苦地蔵のお話
ですかね。

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2009/05/01

鎌倉なんでもベスト3 -庭園-

鎌倉なんでもベスト3。其の二は、「庭園」について。

美しい仏像との出会い、丹精込めて育てられた境内のお花の観賞、とお寺めぐりの楽しみは尽きませんが、立派なお庭を拝観するのも、お寺めぐりの楽しみの一つですね。
しかし、京都などと比べると、鎌倉には見るべき庭が少ないと言われています。それはなぜでしょうか。まずは、日本の庭園の歴史を少し調べてみましょう。

◆平安時代
平安時代、京都では寝殿造庭園や浄土式庭園と呼ばれる庭園が盛んに造られました。
「寝殿造庭園」というのは、平安貴族が住んだ「寝殿造」の屋敷に付随する庭園のこと。絵巻物などに、池に船を浮かべて管弦の宴を催している絵がありますが、まさにあのような庭園のことです。代表的な遺構として、京都の神泉苑があります。

平安時代後期になって主流となるのが、この時代に流行った浄土信仰に基づく「浄土式庭園」。
お釈迦様が亡くなって、2000年目からの世の中は「末法の世」という仏の救いが及ばない世になる、というのがいわゆる「末法思想」。末法の世に生まれ、現世では救われないのなら、せめて死んだ後は阿弥陀様の主宰する極楽浄土に行き、幸せになろうというのが「浄土信仰」で、平安貴族たちは、なんとか極楽浄土に生まれ変わろうと、それは必死だったようです。

極楽浄土に生まれ変わるために、貴族たちは2つのことをがんばりました。1つは、念仏を唱えること。もう1つは、自分が行く極楽浄土の様子を頭の中に思い浮べてイメージトレーニングをすること。このイメージトレーニングのために造ったのが、「浄土式庭園」なのですね。自分の思い描く理想の極楽浄土の様子を庭園に現し、こういう場所に生まれ変わるんだ、とイメージトしたわけです。平等院鳳凰堂の庭園は、関白・藤原頼通が思い描いた極楽浄土です。
Byodouinこのように、寝殿造・浄土式庭園が盛んに造られた平安時代ですが、この時代、鎌倉はまだ地方の田舎町。寝殿造庭園や浄土式庭園が造られることは、もちろんありませんでした。

◆鎌倉時代
鎌倉時代になって、中国から新しく入ってきたのが、「禅」の教え。禅宗は鎌倉幕府が保護したこともあり、建長寺や円覚寺など、禅宗の大寺院が建立され、鎌倉で大発展します。
「禅」は仏教の教えですが、禅宗のお坊さんたちによって、さまざまな「禅宗様」の文化も発展します。そのひとつが禅宗様の庭園。平安時代の寝殿造りの庭園が、「大和絵」的な穏やかなものだとすると、禅宗様の庭園は「禅」の思想を表現する、非常に厳しいもの。絵に例えるなら枯淡の墨で描いた「水墨画」に近いでしょうか。

では、鎌倉時代になってすぐに禅宗様の優れた庭園がたくさん鎌倉に造られたかというと、そうでもありません。禅宗様の庭園を様式的に完成させたのは、夢窓国師というお坊さん。この人は、京都の西芳寺(苔寺)や、天龍寺の庭園など傑作を数多く残しました。
しかし、夢窓国師は鎌倉末期から室町初期の人物。しかも、夢窓国師の晩年の傑作というのは、足利将軍家の命によって京都で造られている。このような事情が、鎌倉には見るべき庭園が少ないと言うことにつながっているのです。

<鎌倉の庭園ベスト3>
確かに、歴史的に価値のある優れた庭園は少ない鎌倉ではありますが、全く見るべきものがないかと言えば、そんなこともありません。私が、鎌倉の優れた庭園として挙げたいのが、「瑞泉寺の庭園」、「海蔵寺の庭園」、「報国寺の庭園」です。

瑞泉寺の庭園
Zuisenji瑞泉寺を開いたのは夢窓国師で、本堂裏の庭も夢窓国師の作。この庭の位置づけは、後年、京都で造る苔寺や天龍寺の庭園のプロトタイプ的なものと言えるでしょう。

岩肌にポカンと口を開ける大小の穴と、水草の生えた池。はじめてこの庭を見た人は、一見、何を表現しているのか分からず、戸惑ってしまうかもしれません。しかし、よくよく観察すれば、仙人が住む深山の洞窟、流れ落ちる滝、海に向って急流から大河へと変化する水の流れ、そういった大自然の変化が、禅の厳しい思想に裏打ちされて表現されているのに気付くと思います。
規模こそ小さいですが、やはり作庭の天才・夢窓国師の作品。一見の価値ありです。

海蔵寺の庭(非公開)
こちらのお庭は、残念ながら非公開ですが、先日、私の主宰するNHK学園の講座で特別に見せていただく機会があり、とても素晴らしいお庭で感動しました。
このお庭は、今の和尚さんが趣味で(ご本人談)で造っていらっしゃるもので、歴史的なものではありません。しかしながら、深山幽谷から流れ出た水が大海に模した池に流れ込む様子を、お寺の裏山を上手に借景として使いつつ見事に表現しており、素晴らしい出来栄えになっています。
禅寺の庭らしさ、ということで言えば、鎌倉ナンバーワンかもしれないですね。

報国寺の庭園
Hokokuji一風変わった竹林の庭。青々とした孟宗竹の鮮明な風景の中を涼やかに吹きぬける風。風が吹き抜けた後、笹の葉がサワサワとささやくような心地よい音を立てる。。。
この庭は、外国人に「日本の風情というのは、こういうもんだよ」と教えるときに、ちょうどピッタリ。
麗らかで幻想的な春の早朝、夏の午前の心地よさ、秋の昼下がりの美しさ、冬の夕暮れの寂しさ。。。誰もが心の奥底に持っている日本人の心を思い出すために時折訪れたい、そんなお庭です。


さて、これも順位付けはとても難しいですが、鎌倉の庭園ベスト3は、
1位:報国寺の庭園
2位:瑞泉寺の庭園
3位:海蔵寺の庭園
というところでしょうか。

このほか、日本庭園ではありませんが、鎌倉文学館のローズガーデン(イングリッシュ・ガーデン)は、5月には春バラで一杯になります。イベントも行われるので、ぜひ訪れてみてください。

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2009/04/29

鎌倉なんでもベスト3 -美しい仏様-

今、ちょうど上野の東京国立博物館で、「興福寺創建1300年記念 国宝阿修羅展」をやっていますね。見に行かれた方も多いと思います。
「天平の美少年」と呼ばれるこの阿修羅像、なんだか仏像というよりも、今で言えば、アイドルかタレントのフィギュアのようにも思えます。本当に瑞々しいですね。

この阿修羅像も含め、「美しい仏像」というのはたくさんありますが、私が今まで見た仏像で、最も美しいものを3つだけ挙げよ、と言われたら、広隆寺の「弥勒菩薩半跏思惟像」(京都)、薬師寺の「薬師三尊像」(奈良)、中宮寺の「如意輪観音像」(奈良)を選ぶと思います。

やはり、奈良・京都は歴史が古いだけあって、仏像の傑作もたくさんあります。

では、鎌倉には美しい仏様はいないのと言われれば、そんなことはありません。私が鎌倉の美しい仏様を3つ選ぶとすれば、「水月観音」(東慶寺)、「如意輪観音(来迎寺)」、「覚園寺・薬師堂内の群像」を挙げます。

水月観音(東慶寺)
この仏様は「水月観音堂」という独立した建物にお祭りされていて、拝観するには事前予約が必要なこともあり、東慶寺に行ったことはあっても、水月観音を拝観したことはないという人が多いのではないでしょうか。

観音様は「補陀洛山 (ふだらくさん 梵語ポータラカの写音。チベットの「ポタラ宮」というのもここからとっています)」というインドの山に住んでいるのですが、その山の麓を流れる川の辺の岩に腰掛け、水面に映る月を眺めている姿を描いたのが、いわゆる「水月観音」です。

東慶寺の水月観音の特徴はその座り方にあります。仏像は、立ち姿の「立像」、座っている姿の「坐像」があります。そして「坐像」は通常、「正座」や両方の足を組んだ「結跏趺坐(けっかふざ)」、片足を組んだ「半跏趺坐(はんかふざ)」が多いですが、この水月観音は足を組まず、横に流しています。なんだか「お嬢さん座り」みたいですよね。このような坐像を「遊戯坐像(ゆげざぞう)」と言います。遊戯坐像は中国(宋王朝の時代)では数多く造られましたが、日本では作例が非常に少ないのでとても貴重です(※1)。

この仏様、ややうつむき加減の表情といい、衣の繊細な線といい、言葉では表現できない美しさを持っています。「鎌倉の美女」というのにふさわしい仏様。鎌倉へお越しの際は、ぜひ拝観をおすすめします。

如意輪観音(来迎寺)
来迎寺というお寺は、鎌倉に2つあるので、注意が必要です(西御門と材木座)。ご紹介する如意輪観音は西御門(にしみかど)のほうの来迎寺にいらっしゃいます。

この仏様の美しさは、上で紹介した水月観音が可憐な美しさだとすれば、どちらかというと妖艶な美しさです。岩穴の奥に座り、来るものをその美しさで魅了する、そんな感じですね。とにかく一度お参りすると、その美しさに囚われ、何度も足を運びたくなってしまいます(私だけ?)。
もともとこの仏像は、現在、頼朝の墓がある場所に明治初年まであった法華堂(頼朝持仏堂)のご本尊でしたが、廃仏毀釈(神仏分離令)により法華堂が取り壊されたので、来迎寺に移されたのだそうです。
鎌倉の仏像特有の装飾技法である「土紋(粘土と漆を混ぜたものを型抜して、仏像の表面に貼り付けていく技法)」があしらわれているのも、この仏像の特徴です。

覚園寺・薬師堂内の群像
皆さん、覚園寺というお寺、ご存知でしょうか。薪能で有名な鎌倉宮(大塔宮)から、更に山の麓のほうにしばらく歩いたところにあるお寺です。
このお寺は、なんというか「鎌倉らしさ」とか「鎌倉の風情」というものをギューっと凝縮したような魅力のあるお寺です。
室町時代に建てられた本堂の薬師堂は、ほぼ当時のまま。したがって中にお祭りされている仏様もほぼ当時のままの姿。戸の隙間から入るわずかな光とお灯明だけに照らされて、その優美な姿で立っている群像。このお寺に来ると、なんだか時空を超えて、鎌倉・室町の昔にタイムスリップしたような感じさえしてきます(※2)。

薬師堂の中心にいらっしゃるのは本尊の薬師如来像。そして両脇には日光・月光の両菩薩。壁際に並ぶのは、邪悪なものが薬師如来に近づかないよう、恐ろしげな表情で周囲を威嚇する十二神将。
さらに、本尊に向って右奥にも忘れてはならない仏様がいらっしゃいます。小さな阿弥陀様で、「鞘阿弥陀(さやあみだ)」と呼ばれる仏様。かつて、理智光寺というお寺のご本尊でしたが、理智光寺が廃寺になったため、客仏として覚園寺にお祭りされています。生前、鎌倉に住んでいた川端康成が、この仏様を大変気に入っていて、度々訪れては眺めていたとか。


順位は付け難いですが、一応順位付けすると、鎌倉の美しい仏様ベスト3は、
1位:水月観音(東慶寺)
2位:如意輪観音(来迎寺)
3位:覚園寺・薬師堂内の群像
ですね。

もちろん鎌倉には、与謝野晶子に「美男」と読まれた大仏様をはじめ、ほかにもたくさん素敵な仏様がいらっしゃいます。GWは大変な混雑で、ゆっくりお寺をお参りするのは難しいですが、GW後、梅雨の紫陽花の時期までは比較的混雑もおさまり歩きやすいので、ぜひお寺を訪ね歩いて、美しい仏様と素敵な出会いをなさってください。

※1 遊戯坐像については、「日本の美術 No.57 禅宗の彫刻」(至文堂)に詳しい。
※2 覚園寺は、毎日決められた時間に、お寺の方の案内で拝観するスタイル。自由拝観はできないので注意。

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鎌倉なんでもベスト3

皆さん、いかがお過ごしでしょうか。もうすでにGWに突入!という方もいらっしゃると思います。

私は、普段はあちこちに旅行に出掛けていることが多いですが、毎年GWは家にとじこもることに決めています。
通勤電車のような新幹線、延々何十キロも続く高速道路の渋滞。。。これを想像すると、家にいるのが一番!ということになってしまいます。私にとって、GWは普段の疲れをとるための静養期間という感じです。

私と同じで、GWは家で過ごすという方も多いと思うので、鎌倉について何かテーマを決めて面白いことを書こうと思うのですが、あまり固いことを書いても仕方がないので、やや脱力系でいきましょう。

鎌倉なんでもベスト3!

「日本三景(松島、天橋立、宮島)」とか、「日本三名山(富士山、立山、白山)」のように様々な「日本三大○○」というのがありますが、これと同じように、鎌倉について、いろいろなテーマの1位、2位、3位を決めていきましょう。あくまでも私の独断と偏見でですが。。。いかがでしょう?

では、次回から書いていきます。

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2008/07/23

ちょっと欲張りな展覧会

先週末、現在、上野の東京国立博物館・平成館で開催されている美術展『対決-巨匠たちの日本美術』を見てきました。
この展覧会は、
鎌倉時代の仏師対決 運慶 VS 快慶
室町時代の絵師対決 狩野永徳 VS 長谷川等伯
江戸時代の造仏僧対決 円空 VS 木喰(もくじき)
というような具合に、「対決」という形で、同時代に同分野で活躍した巨匠の作品同士を並べて展示し、その持ち味・違いを浮き彫りにしようというもの。
今までにない、斬新なアイデアでとても面白いとは思いますが、ちょっと欲張りすぎたかなという感があります。本当の意味で「対決」させるのであれば、個々の作家のより多くの、そしてより多面的な作品を展示しなければなりませんが、「対決」の数が多すぎて、どの作家の作品も質・量ともに中途半端になってしまいました。
作品を鑑賞しているうちに、次第に「対決」というアイデアはどうでもよくなり、個々の作品の素晴らしさに引き込まれていきました。

今回の展示会で、最も目を引かれたのは、やはり等伯の「松林図屏風」。いかにも地味な作品ですが、湿気の多い日本の風土を端的に表すばかりでなく、日本人の幽玄の美意識までをも描き切った、傑作中の傑作であると思います。
等伯の「松林図屏風」を見ると、いつも思い出すのが、日本と同じくウェットな風土をもつ英国の風景を描き続けた画家・ターナーの絵。しかし、日本人の美意識には等伯の絵のほうがしっくりきます。
「松林図屏風」は、間近で見てはいけません。2、3歩下がってみてみると、遠くの冠雪した山と、辺り一面を煙るように包みこむ朝靄(あさもや)の中に浮かんでは消える松林の情景が広がって見えます。
朝一番の開館にあわせて足を運んだ甲斐があり、人がまばらな中でじっくりと、このしっとりとした風景を堪能することができました。

ここには、とても書ききれませんが、この展覧会は「対決」はともかくとして、見るべきものは多いと思いです。懐かしく、温かく、穏やかな気持ちにさせてくれる円空仏の微笑み。みずみずしく、現代人が見ても、とてもお洒落に思える蕪村の水墨画など。

そして何よりも、私が驚いたのは、若冲(伊東若冲 1716~1800)の作品に点描の手法を使った作品があること。点描といえば、後期印象派の画家のジョルジュ・スーラ(1859~1891)が有名ですが、スーラの半世紀も前に我が国の画家が、このような試みを行っていたとは!
(スーラが画面全体を点描法で構成したのに対し、若冲は画面の中の石灯籠の部分のみを点描法で描いたという違いは、もちろんありますが。)

展覧会は8月17日(日)までですが、途中展示替えがあるので、等伯の「松林図屏風」などを見たい方は、お早めにどうぞ。

◆『対決-巨匠たちの日本美術
作品リスト

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2007/06/15

梅雨時 鎌倉で楽しむアート

~鎌倉で楽しむアート~

梅雨時の鎌倉、楽しみはなんといっても紫陽花ですが、時間が余ったらちょっと立ち寄ってみたいのが、鎌倉の美術館。
鎌倉には、神奈川県立近代美術館や鎌倉国宝館・鎌倉文学館のような公共団体が運営する大きな美術館・博物館のほか、地元企業やアーティストが自前で経営する小規模の美術館がいくつかあります。

例えば、北鎌倉の紫陽花の名所、明月院のすぐそばにあるのが、画家・葉祥明(ようしょうめい)氏の個人美術館「葉祥明美術館」。

「葉祥明美術館」は、北鎌倉の駅から明月院へとむかう道の左手に建つ瀟洒な洋館が美術館となっていて、常設展示のほか、企画展も催されています。

葉氏は絵本作家ですが、美術館を訪れて氏の作品に実際に触れてみると、絵本という枠を遥かに超えていることに気づきます。
どこか懐かしく、ノスタルジーを感じさせる画風。ほぼすべての作品に描かれている地平線ないし水平線。そして、絵から伝わる物語の予感。

その他、おすすめの美術館としては、ホテルニューオオタニの前会長、故大谷米一氏のコレクションを中心に展示する「鎌倉大谷記念美術館」や北大路魯山人の作品を中心に展示する「吉兆庵美術館」などがあります。

[参考URL]
葉祥明美術館

鎌倉大谷記念美術館

吉兆庵美術館

※大谷記念美術館のデュフィ・コレクションは内外に知られており、デュフィの三大テーマである「海、音楽、競馬」の全てを網羅する名作が収蔵されています。6/26(火)~ 開催される「デュフィ展」オススメです。

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2007/05/13

古都のおすすめ情報

鎌倉・京都のおすすめ情報です。

【鎌倉】
5月の鎌倉の一番のおすすめは、鎌倉文学館のバラ庭園。 世界各地から集めた170種200株のバラを楽しむことができます。
5月12日(土)~6月3日(日)の期間は、「バラまつり2007」を開催。
来週末は、ローズガーデンコンサートなども催されます。

□鎌倉文学館ローズガーデンコンサート
5月19日(土)、20日(日)
各回14:00~15:00

現在、まだ蕾のものが多く、来週末あたりが見頃になるかと思います。

【京都】
相国寺の「若冲展」。
これだけの作品を一度に見ることができる機会は稀だと思うので、ぜひ見に行きたい!

京都は、明後日(5/15)、葵祭ですね。

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2007/04/08

「ローランサン展」見てきました-鎌倉大谷記念美術館-

鎌倉大谷記念美術館は、1995年に死去した故大谷米一氏(ホテルニューオータニ前会長)を偲び、遺族を中心として創設した美術館。いわゆる大谷コレクションを中心に展示を行っています。

この美術館、冬季休館と称して冬はお休みしているのですが、今年は3月27日からオープン。現在は、開館10周年記念展示ということで「ローランサン展-麗しき乙女たちの世界-」をやってます。

マリー・ローランサンは、20世紀フランスの画家。夢とも現実ともつかぬ世界に遊ぶ少女たちを描く、彼女独特の画風で知られます。
今回の展示の中では、ローランサンの『踊る少女達』や『少女と小鳥』などもいいと思いましたが、私は織田廣喜氏の『少女像』に惹かれましたね。。。

6月16日まで開催。6月26日からは、大谷コレクションの中で最も充実している「デュフィ展」。こちらも見逃せません。

写真は美術館外観。日曜・月曜が休館日なので、要注意。
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2007/03/17

古都浪漫-出掛けよう歴史と浪漫の旅へ-

新しく作成したサイト「古都浪漫」です。
まだ、個別の寺社の紹介ページはできておらず、ベータ版ですが、とりあえずサーバにアップして見ました。

サイトのメインコンテンツ「テーマ別古都散策」は、以下のようなものです。

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奈良、京都、鎌倉、平泉。日本を代表する4つの古都は地理的にも離れ、それぞれ独自の歴史・文化を擁する都市です。
しかしながら、日本史の織り成す糸で、しっかりと繋がっているというのもまた事実。
例えば、史上名高い源義経。京都で生まれ、幼少期は鞍馬寺で牛若丸として過ごした後、奥州平泉で青春期を過ごします。 兄頼朝の挙兵に応じ鎌倉に馳せ参じ、平氏を撃つべく西国を転戦。その後頼朝に疎まれ、奈良吉野山で愛妾静御前と別れた後は、再び平泉に戻り、短い生涯を閉じます。

このように、義経の足跡をたどろうと思えば、全国各地を歩かなければならなくなり、奈良、京都、鎌倉、平泉は必ず訪れることになるでしょう。
また、テーマについて調べようと思えば、ちょっと歴史の本を読んでみようと思ったりして、ただ物見遊山をするより格段に面白くなるとは思いませんか。
このようなテーマを少しずつ皆さんと一緒に増やして、旅行の際の参考にしていただければというのが、この「テーマ別古都散策」です。

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2007/01/22

鎌倉で楽しむアート

外は寒いし、お寺に行っても花もそれほど咲いていない・・というこの時期こそ行ってみたいのが、鎌倉の美術館。
鎌倉には、神奈川県立近代美術館や鎌倉国宝館・文学館のような公共団体が運営する大きな美術館・博物館のほか、地元企業やアーティストが自前で経営する小規模の美術館がいくつかあります。

中でもおすすめなのは、北鎌倉にある画家、葉祥明氏の個人美術館「葉祥明美術館」や、鎌倉駅の近く小町通にある和菓子店が運営する「吉兆庵美術館」。 さらに、ホテルニューオータニ前会長故大谷米一氏の鎌倉の別邸を改装し、大谷氏のコレクションを公開している「鎌倉大谷記念美術館」など。

「葉祥明美術館」は、明月院への道の左手に建つ瀟洒な洋館が美術館となっていて(写真)、常設展示のほか、企画展も催されています。

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葉氏は絵本作家ですが、美術館を訪れて氏の作品に実際に触れてみると、絵本という枠を遥かに超えていることに気づきます。
どこか懐かしく、ノスタルジーを感じさせる画風。ほぼすべての作品に描かれている地平線ないし水平線による構成美。そして、絵から伝わる物語の予感。
美術館から出てきたときにはすっかりファンになってしまっていました^^(特に『White Planet』という作品がよかった・・・)。

「吉兆庵美術館」は、和菓子店「鎌倉 源 吉兆庵」が運営する美術館で、北大路魯山人の陶芸・書画を中心に展示しています。
魯山人という人は非常に幅広い分野で活躍した人で、大変な美食家だったんですね。それで「食器は料理の着物」だと言って、自分が気に入るように皿や器を作りはじめて、その道でも一流になっちゃうんです。北鎌倉に陶芸用の窯を持っていたので鎌倉所縁の人でもあります。
漫画『美味しんぼ』に出てくる海原雄山は、魯山人がモデルになっているようです。

「鎌倉大谷記念美術館」は、鎌倉の美術館では一番見応えがあると思います。特に近代フランス絵画はデュフィ、ヴラマンクをはじめモジリアーニ、ユトリロなど多彩なコレクション。
でも、この美術館、冬の間はずっとお休みしてるんですよ。
年間スケジュールを見ると、今年は3/27から公開が始まり、「ローランサン展」をやるようですね。


[参考URL]
葉祥明美術館

吉兆庵美術館

鎌倉大谷記念美術館

北大路魯山人

魯山人と鎌倉

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2007/01/20

国立新美術館

国立新美術館、いよいよ明日オープンですね。
国内最大級の展示スペース(14,000m2)を誇るこの美術館、コレクションの収集は一切行わず(すなわち常設展がない)、キュレーターの企画に応じて、内外から必要な美術品を借りてきての展示会のみ行うそうですね。
コレクションを持たない国立美術館というのは世界初の試みということで壮大な実験という感じもあり、今後どれだけ質の高い企画展を開催することができるかというところで、真価が問われますね。
身近にアートに触れる機会が増えるということで、喜ばしいです。

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2006/11/07

ヨーヨー・マ

昨日の記事の補足です・・・。
昨日の記事ではデュ・プレとの比較対象としてしか書いてなかったんですが、ヨーヨー・マ(チェロ)とエマニュエル・アックス(ピアノ)のコンビとてもいいんです(コメントを書いてくれた方のおかげで、このことを書いていないことに気づきました)。

ブラームスに関していえば、本来のブラームスの音楽の魅力(メランコリックな感じ、滋味深い感じ)を十二分に引き出しているとともに、全般的に軽やかに演奏しているので聴いていて疲れることもなく、とても心地よい演奏ということができます。

ヨーヨーはあまりにも頭がよすぎるせいか難解な音楽性を志向しているように見受けられる面もありますが、バッハの無伴奏チェロなどは、あたかも草原を吹き抜ける風のような心地よい響きを聴かせてくれますし、やはり腕前は超一流だなと思います(古典を弾くと奏者の腕前がはっきり分かりますね)。

個人的にヨーヨーのCDでおすすめなのは「ヨーヨー・マ ベストコレクション」。

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2006/11/06

デュ・プレ ブラームスのチェロソナタ

ブラームス:チェロソナタ集
Photo_18

クラシック音楽が好きな方なら、おそらくブラームスのチェロソナタ、ご存知だと思います。
ちょっとメランコリックな滋味深いいい曲ですよね。

私は長年この曲を、チェロ:ヨヨー・マ、ピアノ:エマニュエル・アックスのCDで愛聴していましたが、先日、チェロ:ジャクリーヌ・デュ・プレ、ピアノ:ダニエル・バレンボイム版のCDを購入しました。

デュ・プレは生前天才と言われ、1987年、多発性硬化症という原因不明の難病で、まだ42歳の若さで世を去った英国の女流チェロ奏者。このCDは夫バレンボイムと結婚して間もなく録音したもの。

長年愛聴してきたヨーヨー・マの演奏と比べると、ヨーヨーが軽やかに(特に低音部をぼやかすような感じで)演奏しているのに対し、デュ・プレは魂のあらん限りを注いで全身全霊でアタックしている、という感じです(特に1番の1楽章は両者の演奏の違いが鮮明に現れています)。
ところどころデュ・プレのはやる気持ちにバレンボイムのピアノが付いて行ってないという感もありますが、全体的には既存の「ブラームスはこう演奏する」という枠を超えているようで、新鮮に感じました。

1番ではあまり息があってない印象のデュ・プレ夫妻ですが、2番に入ると、今度は地上から巻き上がるチェロと天空から降り注ぐピアノの音が、融和して輝いているような美しい調和を聴くことができました(あたかも2人の愛の喜びを奏でているかのように)。

恐らくこの演奏については賛否両論があるところだと思いますが、一聴の価値ありです(一緒に入っているショパンのチェロソナタなどもGood)。


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2006/11/04

ちょっとした掘り出し物

今日は掘り出し物の話・・・。
といっても骨董品の話でもなければ、小判を掘り当てたわけでもありません(笑)。
古本の話です。

先日、近所のブックオフの店内を見て歩いてたら、『原色版 国宝』シリーズ全12巻(毎日新聞社刊)が一冊なんと500円!
速攻で飛びつきました。
第1巻「上古 飛鳥 奈良Ⅰ」~第12巻「桃山 江戸 明治」に至るまで日本の主だった国宝をカラー図版入りで詳細に解説しています。
出版された年代はやや古いものの、全部で6000円はやはり安い!

私の美術品に対する興味は、以前は西洋美術一辺倒で、ニューヨークのメトロポリタン美術館までわざわざ出掛けたりしたものですが、最近は日本の美術品、特に仏像に非常に惹かれています。
しかしながら、体系だった解説書を持っていなかったので、今回の買い物は本当にうれしいです。

ちなみに買い物して付いたポイントで、尊敬する写真家の故土門拳氏の写真集『土門拳のすべて』をゲットしました(これまたうれしい。最近ポイントでかなり得してる・・・)。
Kokuhou

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2005/10/22

ギュスターヴ・モロー展

今日は、渋谷の東急Bunkamuraザ・ミュージアムで開かれているギュスターヴ・モロー展に行ってきました。
ギュスターヴ・モロー(1826-1898)は、19世紀のフランスの画家で、マティスやルオーの師としても知られています。ほぼ、同時期に活躍した印象派の画家たちとは対照的に、モローは主に幻想・夢想の世界や神話を題材とする絵を多く残しました。

1995年にも、上野の国立西洋美術館でギュスターヴ・モロー展が開かれ、私はこの展覧会を見て以来、モローの美しい絵画世界の虜になり、好きな画家の一人となっています。

今回のザ・ミュージアムの展覧会は、小規模ながらも、フランス国立ギュスターヴ・モロー美術館所蔵の油彩48点を始めとする160点が展示されています。

モローの絵を見て改めて思ったのは、モローの本領は油彩ではなく、淡いタッチで描いた宝石のような水彩だなということです。
ギュスターヴ・モロー展は、明日まで開かれています。


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2005/09/06

世界遺産

鎌倉市が世界遺産登録を目指した取り組みを行っていることは、ご存知の方も多いかと思います。
世界遺産というと、最近では北海道の知床が登録されましたよね。
では、鎌倉が世界遺産に登録されるとどうなるんでしょう。今日は、そんなことを考えてみたいと思います。

そもそも世界遺産て何なんだろう?と思って調べてみると、こんな立派なサイトがありました(「世界遺産資料館」)。
現在日本からは、13件が世界遺産に登録されており、「彦根城」 「鎌倉の文化財」 「平泉の文化遺産」 「石見銀山遺跡」 の4箇所が、文化遺産候補になっているのですね。

こちらのページの資料を見る限り、「原則として保護に関わる資金援助などはなされません」とあります。そうすると世界遺産登録のメリットは何?と考えてしまいますね。世界的に有名になって観光客がたくさん押しかけること? まあ、知床のときは報道機関の過熱気味の報道があり、本来静かな秘境が人で溢れかえっているという笑えない状態になっていました。

ちなみに、世界遺産登録に向けた取組みについて、鎌倉市と湘南工科大学が共同で作成したホームページがあります。こちらでは、鎌倉の世界遺産登録の意義として以下の3点を挙げています。

◆世界共通の資産として
世界遺産に登録されるということは、鎌倉の歴史的遺産が、世界的に価値のある人類共通の遺産として認められることです。 そして歴史的遺産を大切に守り、次世代に残していくことを、世界に向けて示すとともに、世界に対して責任を持つことになります。

◆後世に伝えるため
鎌倉市は昭和48年に定めた鎌倉市民憲章のなかで、「わたしたちは、鎌倉の歴史的遺産と自然及び生活環境を破壊から守り、 責任をもってこれを後世に伝えます。」と述べています。鎌倉の歴史的遺産を登録することはまさに、この市民憲章を実現することになります 。

◆まちづくりの指針
世界遺産をきっかけとして、古都としての風格を保った鎌倉らしいまちづくりに明確な理念を示すことが可能となります。

このページのバーチャルギャラリーすごいですね。マウスのドラッグで360度どころか、上や下まで見ることができます(もっと数を増やして欲しいです)。私はむしろこちらのほうに関心してしまいました。

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2005/07/02

バッハ 無伴奏チェロ

私はクラシック音楽が好きなんですけど、大好きな曲に、バッハ作曲の「無伴奏チェロ組曲」という曲があります。
普通、バイオリンにしろ、他の楽器にしろ、楽器を演奏する場合は、ピアノなどの伴奏がつくのが普通なんですけど、この曲は本当にチェロだけで演奏します。

それだけに、この曲は演奏者の個性がとてもよく現れます。フランスの有名なチェロ奏者で、ピエール・フルニエという人がいます。また、中国系アメリカ人のチェロ奏者でヨーヨー・マという人がいますが、この二人の「無伴奏チェロ」を聞き比べると、同じ曲なのになんだか随分雰囲気が違います。

クラシック音楽の魅力というか特色のひとつに、メロディーから情景が思い浮かぶというのがあると思うんですが、フルニエの演奏を聴くと、その高貴に洗練された音色は、ヨーロッパの古城か宮殿にいるような気持ちにさせてくれます。

逆に、ヨーヨーの自由で活力に満ちた演奏は、まるで草原を吹き抜ける風であり、遥か天空に舞い上がるような心地になります。

「無伴奏チェロ」を聞きながらまどろむ午後のひと時、最高に贅沢な時間です。
Bach

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