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2009/05/03

鎌倉なんでもベスト3 -大正ロマンを感じる場所-

鎌倉なんでもベスト3、其の四は「大正ロマンを感じる場所」。

鎌倉は、源頼朝が幕府を開いた武家の都。鎌倉時代は日本の政治の中心都市として繁栄しました。室町時代になると、政治の中心は京都に戻るものの、鎌倉には「鎌倉府」という東国の政治を束ねる機関が設置され、東国の中心都市として重要な役割を担い続けました。

しかし、室町時代後半から戦国時代になると、度重なる戦火などで鎌倉は急速に衰え、やがて東国の一寒村になってしまいます。

江戸時代には、江ノ島詣での物見遊山の観光客が訪れるようになるものの、鎌倉が、再び本格的に発展するのは明治時代になってから。1889(明治22)年に横須賀線が開通すると、海あり山ありの風光明媚な土地で、しかも東京からほど遠くないということで、鎌倉は別荘地・保養地として人気を博するようになります。こういうわけで、鎌倉には日本の古きよき時代、明治・大正期に建てられた洋館が、今なお残っています。

かいひん荘 鎌倉
Kaihinso
江ノ電の由比ヶ浜の駅を降り、路地に入っていくと、ほどなく「かいひん荘 鎌倉」という旅館があります。
道路と敷地を仕切る塀も和風、旅館の入口の構えも和風なので、純和風旅館のように見えますが、入口からみえる和館の裏手に、規模はそれほど大きくはないものの白い洋館が建っていて、今も客室として利用されています。
この洋館は、富士製紙社長の村田一郎の邸宅として、1924(大正13)年に建てられたもの。豪雪地域によくあるような急勾配の切妻屋根と、出窓が多いのが特徴になっています。
アンティークなロビーやラウンジ、洋館の客室に入れば、そこは「大正ロマン」の世界です!

※和室の客室もあります。

ホテル ニューカマクラ
Photo鎌倉駅の横須賀線ホームから、西口(江ノ電が発着する側)のほうを眺めると、黄色っぽい建物が眼に入ります。この建物は、「ホテル ニューカマクラ」という素泊まりホテル。鎌倉駅前の一等地に、こんなホテルがあるなんて知らないという人も多いのではないでしょうか。

今、このホテルが建つ場所は大正時代、「平野屋」という料亭でした。しかし、この料亭、経営が今ひとつで、夏の海水浴客を当て込んで、部屋を間貸しするようなサービスをしていました。
大正12年の夏、このうちの一部屋を間借りしたのが、岡本かの子(歌人。岡本太郎の母)。そして、かの子の借りた隣の部屋を借りていたのが、芥川龍之介でした。
たまたま一夏を隣同士で過ごすことになった、かの子と龍之介。このときの体験をもとに、龍之介の素顔とも言える人物像を描いたのが、かの子の小説家としての処女作『鶴は病みき』。
この5年後に龍之介は自殺を遂げますが、この当時、もう随分と精神的に病んでいたようで、小説に登場する龍之介は「奇行の人」そのもの。風変わりな人という意味では、かの子も同じですが。。。

龍之介とかの子が泊まった直後、「平野屋」の建物は関東大震災で倒壊。その後に建てられたのが、現在の「ホテル ニューカマクラ」の前身「山縣ホテル」。戦後、進駐軍に摂取されたり、病院になったりという歴史を経て、現在は、安価な素泊まりホテルとして人気を博しています。

夕方、小町通の路地奥にある、アンティークなカフェ・バー「Milk Hall(ミルクホール)」でグラスを空けた後、大正ロマンの香りのするホテルでゆったり、などというのも鎌倉ならではの素敵な夜の過ごし方かと思います。

鎌倉文学館
Photo_2鎌倉の大正ロマンの代表格は、やはり鎌倉文学館でしょう。
明治23年、当時の前田利嗣侯爵が現在の文学館一帯の土地を手に入れ、鎌倉別邸を建てたのがはじまり。
火災による焼失と関東大震災による倒壊を経て、現在の洋館が建てられたのは、昭和11年のこと。

この建物が、大正ロマンのイメージと重なり合うのは、現実の建物の優美さもさることながら、数年前、妻夫木聡・竹内結子主演で映画化もされた、三島由紀夫の小説『春の雪』に、松枝侯爵家の鎌倉の別邸として登場することも大きいかと思います。

『春の雪 豊饒の海(一)』より一部抜粋

「青葉に包まれた迂路を登りつくしたところに、別荘の大きな石組みの門があらわれる。王魔詰の詩の題をとって号した『終南別業』という字が門柱に刻まれている。この日本の終南別業は、一万坪にあまる一つの谷をそっくり占めていた。先代が建てた茅葺きの家は数年前に焼亡し、現侯爵はただちにそのあとへ和洋折衷の、十二の客室のある邸を建て、テラスから南へ開く庭全体を西洋風の庭園に改めた。
南面するテラスからは、正面に大島がはるかに見え、噴火の火は夜空の遠い篝になった。・・・」

さて、これも順位付けは難しいですが、「大正ロマンを感じる場所」ベスト3は、

1位 : 鎌倉文学館
2位 : ホテル ニューカマクラ
3位 : かいひん荘 かまくら

ということにしておきます。

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