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2009/04/29

鎌倉なんでもベスト3 -美しい仏様-

今、ちょうど上野の東京国立博物館で、「興福寺創建1300年記念 国宝阿修羅展」をやっていますね。見に行かれた方も多いと思います。
「天平の美少年」と呼ばれるこの阿修羅像、なんだか仏像というよりも、今で言えば、アイドルかタレントのフィギュアのようにも思えます。本当に瑞々しいですね。

この阿修羅像も含め、「美しい仏像」というのはたくさんありますが、私が今まで見た仏像で、最も美しいものを3つだけ挙げよ、と言われたら、広隆寺の「弥勒菩薩半跏思惟像」(京都)、薬師寺の「薬師三尊像」(奈良)、中宮寺の「如意輪観音像」(奈良)を選ぶと思います。

やはり、奈良・京都は歴史が古いだけあって、仏像の傑作もたくさんあります。

では、鎌倉には美しい仏様はいないのと言われれば、そんなことはありません。私が鎌倉の美しい仏様を3つ選ぶとすれば、「水月観音」(東慶寺)、「如意輪観音(来迎寺)」、「覚園寺・薬師堂内の群像」を挙げます。

水月観音(東慶寺)
この仏様は「水月観音堂」という独立した建物にお祭りされていて、拝観するには事前予約が必要なこともあり、東慶寺に行ったことはあっても、水月観音を拝観したことはないという人が多いのではないでしょうか。

観音様は「補陀洛山 (ふだらくさん 梵語ポータラカの写音。チベットの「ポタラ宮」というのもここからとっています)」というインドの山に住んでいるのですが、その山の麓を流れる川の辺の岩に腰掛け、水面に映る月を眺めている姿を描いたのが、いわゆる「水月観音」です。

東慶寺の水月観音の特徴はその座り方にあります。仏像は、立ち姿の「立像」、座っている姿の「坐像」があります。そして「坐像」は通常、「正座」や両方の足を組んだ「結跏趺坐(けっかふざ)」、片足を組んだ「半跏趺坐(はんかふざ)」が多いですが、この水月観音は足を組まず、横に流しています。なんだか「お嬢さん座り」みたいですよね。このような坐像を「遊戯坐像(ゆげざぞう)」と言います。遊戯坐像は中国(宋王朝の時代)では数多く造られましたが、日本では作例が非常に少ないのでとても貴重です(※1)。

この仏様、ややうつむき加減の表情といい、衣の繊細な線といい、言葉では表現できない美しさを持っています。「鎌倉の美女」というのにふさわしい仏様。鎌倉へお越しの際は、ぜひ拝観をおすすめします。

如意輪観音(来迎寺)
来迎寺というお寺は、鎌倉に2つあるので、注意が必要です(西御門と材木座)。ご紹介する如意輪観音は西御門(にしみかど)のほうの来迎寺にいらっしゃいます。

この仏様の美しさは、上で紹介した水月観音が可憐な美しさだとすれば、どちらかというと妖艶な美しさです。岩穴の奥に座り、来るものをその美しさで魅了する、そんな感じですね。とにかく一度お参りすると、その美しさに囚われ、何度も足を運びたくなってしまいます(私だけ?)。
もともとこの仏像は、現在、頼朝の墓がある場所に明治初年まであった法華堂(頼朝持仏堂)のご本尊でしたが、廃仏毀釈(神仏分離令)により法華堂が取り壊されたので、来迎寺に移されたのだそうです。
鎌倉の仏像特有の装飾技法である「土紋(粘土と漆を混ぜたものを型抜して、仏像の表面に貼り付けていく技法)」があしらわれているのも、この仏像の特徴です。

覚園寺・薬師堂内の群像
皆さん、覚園寺というお寺、ご存知でしょうか。薪能で有名な鎌倉宮(大塔宮)から、更に山の麓のほうにしばらく歩いたところにあるお寺です。
このお寺は、なんというか「鎌倉らしさ」とか「鎌倉の風情」というものをギューっと凝縮したような魅力のあるお寺です。
室町時代に建てられた本堂の薬師堂は、ほぼ当時のまま。したがって中にお祭りされている仏様もほぼ当時のままの姿。戸の隙間から入るわずかな光とお灯明だけに照らされて、その優美な姿で立っている群像。このお寺に来ると、なんだか時空を超えて、鎌倉・室町の昔にタイムスリップしたような感じさえしてきます(※2)。

薬師堂の中心にいらっしゃるのは本尊の薬師如来像。そして両脇には日光・月光の両菩薩。壁際に並ぶのは、邪悪なものが薬師如来に近づかないよう、恐ろしげな表情で周囲を威嚇する十二神将。
さらに、本尊に向って右奥にも忘れてはならない仏様がいらっしゃいます。小さな阿弥陀様で、「鞘阿弥陀(さやあみだ)」と呼ばれる仏様。かつて、理智光寺というお寺のご本尊でしたが、理智光寺が廃寺になったため、客仏として覚園寺にお祭りされています。生前、鎌倉に住んでいた川端康成が、この仏様を大変気に入っていて、度々訪れては眺めていたとか。


順位は付け難いですが、一応順位付けすると、鎌倉の美しい仏様ベスト3は、
1位:水月観音(東慶寺)
2位:如意輪観音(来迎寺)
3位:覚園寺・薬師堂内の群像
ですね。

もちろん鎌倉には、与謝野晶子に「美男」と読まれた大仏様をはじめ、ほかにもたくさん素敵な仏様がいらっしゃいます。GWは大変な混雑で、ゆっくりお寺をお参りするのは難しいですが、GW後、梅雨の紫陽花の時期までは比較的混雑もおさまり歩きやすいので、ぜひお寺を訪ね歩いて、美しい仏様と素敵な出会いをなさってください。

※1 遊戯坐像については、「日本の美術 No.57 禅宗の彫刻」(至文堂)に詳しい。
※2 覚園寺は、毎日決められた時間に、お寺の方の案内で拝観するスタイル。自由拝観はできないので注意。

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